D2Cとは?その意味や成功パターンをブランド事例と共に解説

近年、Webサービスの発達により、ネット上の顧客ニーズは多様化しています。その中で注目されているビジネスモデルとしてD2Cがあります。「BtoBは知ってるけど、D2Cってなに?」「D2Cはどのような事例があるの?」といった疑問を持つ方々もいらっしゃると思います。ここではそのような疑問を解消するために、D2Cについて概要を説明するとともに、ブランド事例やその成功パターンについて紹介をしていきたいと思います。

D2Cとは何か?

D2C(DtoC)とは?BtoBやBtoCとの違いは?

D2Cとは”Direct to Consumer”の略です。自社で企画・製造・販売までを一貫して行うビジネスモデルのことを指しています。仲介業者を介さないため、低コストの商品を販売していることや、SNSなどを通じて効果的な販促を行っていることがD2Cブランドの大きな特徴となっています。

一方でBtoBやBtoCという表現は「誰から誰へのサービスか」を表しています。例えば、BtoBは「企業から企業へ」のサービスのことで、BtoCは「企業から消費者へ」のサービスのことを指しています。D2CもBtoCと同様に企業から消費者へのサービスではありますが、自社で一貫してサービスが完結しているところがBtoCとの大きな違いです。

年々市場が拡大しているEC市場において、D2Cブランドは拡大を続けています。特にアパレルブランドや化粧品ブランドがD2Cのモデルを取り入れおり、今後も様々な商品を扱うブランドがD2Cの事業に乗り出すことが予想されます。

D2Cが流行している背景とは?

D2Cが流行している背景には3つの消費行動の変化があります。

  1. 広告業界の変化
  2. 消費者の求める価値の変化
  3. ビジネスモデルの変化

広告業界の変化

多くの人がスマホを持つようになったため、デジタル広告も多くみられるようになりました。デジタル広告は誰でも低リスクでターゲットに届きやすい広告を配信できます。そのため、D2Cのような新規参入のブランドでも費用対効果の高い広告配信が可能になりました。その結果、規模の小さい事業でもD2Cを採用することで十分な売上をあげることが可能になりました。

消費者の求める価値の変化

昨今、商品に求めるニーズが機能的価値から情緒的価値へと変化しています。例えば、普通掃除機を購入する目的は掃除の機能にあります。しかし、最近ではインテリアになるようなお洒落な掃除機も人気があります。つまり、消費者は機能的な側面だけでなく、その商品の付加価値や使用することで得られる体験に魅力を感じて、購入商品を決めていることがあります。成功しているD2Cブランドも同様に、機能的な側面だけでなく、販売している商品のストーリーや世界観を押し出す傾向がみられます。

ビジネスモデルの変化

最近ではNetflixやSpotifyなどのサブスクリプションサービスが流行しています。サブスクリプションサービスが流行し、私たちの生活のインフラとなった結果、消費者の価値観は物の所有から物の利用へとシフトしました。また、企業側からすると、継続的に安定収入が見込めるため、サブスクリプション形式をとるD2Cブランドも多く、このようなビジネスモデルの変化はD2Cの発展に寄与しました。

これらの消費行動の変化の結果や、Shopifyなどのクラウド基盤のマルチチャネルコマースプラットフォームの登場で、創業間もないスタートアップ企業でも、D2Cのモデルを採用すること多くの商品の販売が可能になりました。その結果、現在あるようなD2Cの流行へと繋がっていきました。

D2Cのメリットとは

高い収益性で運営できる

D2Cは中間業者を挟まないため、その分中間マージンを取られずに低コストでの運用が可能になっています。通常、Amazonや楽天などのECモールに出店する場合は手数料が必要になります。ただ、D2Cのような自社ECサイトの場合はそのような手数料もかからないため、高品質な商品を低価格で販売することが可能になっています。

様々な宣伝を行うことができる

D2Cは自社で商品を販売しているため、様々な販促方法が可能です。例えば、Instagramのライブ配信で商品の宣伝を行ったり、YouTubeを使ったインフルエンサー経由の販売なども可能です。このような売り方はD2Cならではの販売方法と言えます。

顧客データを収集して、商品の改善ができる

D2Cは仲介業者を挟まないため、直接顧客の情報を得ることができます。商品の販売情報だけでなくWebページの滞在時間の情報なども取得することができます。また、SNSを通した販売の場合はユーザーからのコメントを確認することで、定性的なユーザーの意見も収集することができます。

D2Cの成功パターンを解説

ここではいくつかあるD2Cの事例で成功しているパターンを紹介したいと思います。
具体的には以下の3つ成功パターンを挙げさせていただきました。

  1. 販売者の商品への想いがはっきりとしている
  2. 質の高いものを低価格で販売している
  3. ユーザーの意見を反映している

それではこれらのパターンを実際の事例と併せて紹介していきます。

「煎茶堂東京」の事例:販売者の商品への想いがはっきりしている

https://www.senchado.jp

煎茶堂東京は「美味しいお茶がある暮らし」を提案するシングルオリジン煎茶専門店です。煎茶堂東京はコーヒーやワインと同様に、産地や加工の違いを理解して煎茶を楽しんで欲しいという想いからできたブランドです。三軒茶屋にも実際の店舗を持ち、実店舗とオンラインでのオムニチャネルの販売を行っています。

煎茶堂東京の成功パターンとして、販売者の想いやそれに合わせたライフスタイルの提案を行っていることが挙げられます。ECサイトで商品の世界観やストーリーを語ることで、ユーザーからの共感を誘い、購入へとつなげています。また、InstagramなどのSNSアカウントあるため、煎茶堂東京で購入したユーザーをフォロワーにして、より効果的な販促を狙っていることもD2Cならではの販促の方法です。

「Hush Tug」の事例:質の高いものを低価格で販売している

https://shop.hushtug.net

Hush Tug(ハッシュタグ)は通常なら高価格で手の届かない革製品をより多くの人に買ってもらいたいという想いから立ち上がったブランドです。「現地が持つ、誇れる素材や技術」を見つけて、多くの人に長く使えるものを販売することを目指しています。Hush Tugではイタリアでも使用されるようなモンゴルレザーを使用した革製品を一般価格の半分ほどの値段で販売しています。

Husu Tugは、調達から販売までを自社で行うことで、一般よりも低い価格を設定をするというD2Cの強みを活かした事例になります。煎茶堂東京の事例でも説明した通り、D2Cブランドでは販売者の商品の想いがブランド力にもなるため、こだわりの材料を使用した商品の販売することが多いです。その結果、価格設定が高くなることがよくあります。しかし、D2Cは中間業者による手数料がかからないため、比較的低価格の商品を販売することができます。そのようなモデルを実際に体現しているのが、Hush Tugであることが分かります。

「COHINA」の事例:ユーザーの意見を反映している

https://cohina.net

COHINA(コヒナ)は低身長の女性向けのアパレルブランドで、「小柄な女性にぴったり合う服を届けたい」という想いから創業されました。身長155cm以下の女性をターゲットにしている点が最大の特徴となっています。試着のできないEC販売の場合でも、丈やパターンの改良や着用モデルの身長を明記するなどを工夫を凝らし、試着なしでもぴったり着られるような洋服の販売を行っています。

COHINAの特徴的なプロモーション方法として、インスタライブでの実演販売があります。自由に意見できるライブ形式の販売でユーザーの意見を汲み取り、さらなる商品の改良を行っています。D2CではこのようにSNSを通してユーザーの意見を取り入れて、商品の改良を効果的に行うことができます。また、SNSの場合はユーザーの意見が反映されるのも非常に早いため、改善のサイクルも早く回すことが可能になります。

まとめ

以上がD2Cについての説明と成功パターンの解説でした。成長が著しく変化の激しいEC業界において、D2Cは非常に注目されているビジネスモデルです。D2Cで事業を展開する場合には、商品の特性や相性の良い販促方法を考えるとより効率的な販売が行えると思います。今回の事例を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。