Shopify Unite 2021|新機能まとめ

先日、Shopifyが主催するカンファレンスShopify Unite 2021が行われました。Shopify史上最大のプラットフォーム投資をしたと報告があり、Shopifyでは今回の発表をオンラインストア2.0と位置付けています。様々な注目の新機能の発表していますが、Shopify Uniteは欧米の時間に合わせて行われており、言語も英語だったため、まだ詳細の内容をチェックできていないEC事業者の方々も多くいらっしゃると思います。そのような方々へ向けて、ここではShopify Unite 2021で発表された新機能について、分類別早見表と注目度別の新機能まとめ記事を作成しました。

自社の課題解決につながる機能がなかなかよくわからないというEC事業者の方々は新機能の早見表でざっくりとした機能を把握して、詳細は下部の注目度別にまとめ記事をご確認してみてください。

分類別Shopifyの新機能早見表

分類新機能概要
販促Shopifyメールのパーソナライズ化パーソナライズしたメール配信が可能になります。メールのクリック率やその後の購入率など管理画面で一括で確認できるようになります。
サイトデザインノーコードでストアデザインの編集が可能にコードなしの感覚的なUIでストアのコンテンツを編集できるようになります。
サイトデザインメタフィールド機能の追加メタフィールド(管理画面にない商品や顧客、受注情報の追加データ)を管理画面から編集が可能になります。
サイトデザイン新テーマ「Dawn」のリリースデザイン性と読み込み速度を追求した新しいテーマです。読み込み速度は従来の35%UPとなっています。
決済Shopifyペイメントプラットフォームの立ち上げShopify ペイメントプラットフォームの立ち上げが発表され、今後より多くの決済プロバイダーが使用可能になり、決済方法の多様化が期待できます。
決済チェックアウト機能のアップグレードチェックアウト画面の編集がより容易に行えるようになりました。また、チェックアウトの処理速度も向上し、1分間に数万件の処理が行えるようになります。
配送受取専用ロケーションの指定が可能に受け取りロケーションへ商品を発送する機能です。倉庫が複数あり発送作業が複雑化している場合はこの機能で、コストの削減が見込まれます。
受注ストアフロントAPIのアップグレードストアフロントの編集がより自由に行えるようになります。Shopify Plusで使用できた機能の一部が通常プランでも使用できるようになります。
開発関連カスタムストアフロントの構築を簡略化ストアフロントの構築を簡単にするフレームワークです。この機能はヘッドレスコマースの導入も容易にします。
開発関連アプリ開発でのレベニューシェアが0%に年間収益100万ドル以下のアプリ開発者にかかっていた手数料20%を0%にするという発表がありました。

注目度別新機能TOP10

ここからは上記の早見表で紹介した機能の詳細を注目度別に紹介していきたいと思います。
(注目度ランキングは筆者の主観をもとに、想定される事業インパクトの大きさと注目度から選定しています。ご了承ください…!)

第1位 ノーコードでストアデザインの編集が可能に

今回のShopify Uniteで最も注目されている機能が、コードなしでストアデザインの編集が可能になった機能です。セクションとブロックを編集することで、コンテンツの編集や追加、パーソナライズが可能になります。コードを使用しないため、エンジニアリング技術のない企画者でも思うがままにストアページを編集できるようになります。

第2位 新テーマ「Dawn」のリリース

新テーマ「Dawn」の注目するべきポイントは二つあります。一つはあらゆるブランドの柔軟な表現につながる美しいデザインです。商品ページや商品グリッド、カラーシステムなど美しさを考慮して作成されています。もう一つは、読み込みの高速化です。Dawnを使用したページは従来のページよりも35%も早くページを読み込むことができます。スムーズなページ読み込みは購入率の改善に直結するため、この点もページ改善を考える上では非常に重要です。

第3位 カスタムストアフロントの構築を簡略化

カスタムストアフロントの構築を簡素化するReactフレームワーク「Hydrogen」と「Oxygen(Hydrogenのホストサーバー)」が発表されました。Hydrogenを使用することで、カスタムストアフロント構築の複雑な部分の編集が容易になります。つまり、ヘッドレスコマースが可能になります。

ヘッドレスコマースとはECのフロントの部分(販売画面などユーザーとの接点)と基盤のシステムを分離して開発する新しいEC販売の形態です。ヘッドレスコマースを導入することで、今までは大幅な時間とコストが必要だったECサイトの開発が低コストで行うことが可能になります。詳細は以下の記事でもまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

第4位 Shopifyメールのパーソナライズ化

Shopifyメールはテンプレートが用意されており、誰でも簡単にユーザーへ新商品の宣伝やセール情報の告知を行うことができます。さらに8月からはこれらの機能に加えて、カスタムフィードを使用したパーソナライズされたメールの配信が可能になります。特定の条件に一致したユーザーへのピンポイントの販促が可能になるため、今まで以上に効果的なメール販促が可能になります。

第5位 メタフィールド機能の追加

メタフィールドとは、商品や顧客、注文などに追加で付与できる情報のことです。例えば、商品の手入れ方法や配送期間などです。8月からはこれらのメタフィールドを管理画面から誰でも編集・追加できるようになります。メタフィールドの情報に沿った商品分類や出し分けをすることで効果的に商品を販売することが期待できます。

第6位 アプリ開発のレベニューシェアが0%に

2021年の8月からはアプリ経由での最初の売上100万ドル(約1億円)まではレベニューシェアが0円になります。売り上げが100万ドルを超えた場合でも、レベニューシェアは15%となります。今までは20%のレベニューシェアがかかっていたため、アプリ開発者にとっては非常に大きなニュースです。また、このニュースでShopifyアプリへの参入がより多くなることが予想できるため、さらなる拡張機能の充実も期待できます。

第7位 ストアフロントAPIのアップグレード

ストアフロントAPIがアップデートされたことで、より柔軟な販売方法に対応できるようになりました。具体的には国際価格の設定やサブスクリプション機能、店舗受け取り機能などです。越境ECや実店舗を持っているEC事業者の方々にとってはとても重要な機能になりそうです。

第8位 チェックアウト機能のアップグレード

チェックアウト機能の改善に関しては大きく二つあります。一つは処理能力の向上です。今回のアップデートによって1分間に可能な処理件数が従来の7倍に拡大しました。また、処理速度も2倍になっています。もう一つはチェックアウト画面のカスタマイズが可能になったことです。この機能によって、決済画面でのアップセルなどが可能になり今まで以上に自由度の高い決済画面の実現が可能になります。

第9位 受取専用ロケーションの指定が可能に

これは複数の倉庫を持っている事業者の方々にとって朗報です。複数の倉庫がある場合、在庫管理や出荷処理は複雑になってしまいます。そこで、受け取り専用ロケーションの指定が可能になると、点在する倉庫からそれぞれのユーザーの元への発送の必要がなくなるため、在庫管理が簡潔になります。これはユーザーの受け取り体験の向上や在庫・出荷管理コストの削減を期待できます。

第10位 Shopifyペイメントプラットフォームの立ち上げ

今回Shopifyペイメントプラットフォームの立ち上げの発表もありました。これによって今までなかった決済プロバイダーでの決済が可能になります。主要な決済方法は国や地域によって大きく異なるため、越境ECを行う場合、決済方法が少ないことは機会損失につながる可能性があります。このように越境ECを行う事業者にとって、決済方法の多様化はより多くの売上につながることが期待できます。

まとめ

以上が今回のShopify Unite 2021で発表されたShopifyの新機能でした。どの機能も魅力的ですが、全ての事業者に全ての機能が応用できるとは限りません。自社の事業の特性を考慮した上でこれらの新機能を使いこなしていただけると幸いです。