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関税は、販売価格や顧客満足度に大きく影響する要素です。そのため、越境ECを運営するなら、関税の知識は必ず身につけておく必要があります。しかし、関税の種類や計算方法は複雑で、実はあまり理解できていない事業者もいるでしょう。
本記事では、越境ECで発生する関税の基本や計算方法、国ごとの制度の違いについて解説します。これから越境ECの運営を始める方や、すでに越境ECを運営しているが関税について正しく理解できていない、と感じる方はぜひ最後までご覧ください。
越境ECにおける関税の有無・負担者

まずは、越境ECにおける関税の基本として「越境ECで関税は発生するのか」「関税の負担者は誰なのか」について解説します。
越境ECでは関税が発生する
関税とは、外国から輸入する商品に対して課される税金です。国境を超える取引が欠かせない越境ECでは、関税の発生は避けられません。
関税の金額は、商品カテゴリーや輸入国の制度によって異なります。そのため、越境ECの運営者は、輸出する相手国の制度をもとに事前に関税を計算し、販売価格を決めることが重要です。
越境ECの関税負担は原則購入者
越境ECでの関税負担は、基本的に商品の輸入者です。販売者が販売価格に関税を含めない場合、購入者が後で関税を支払う必要があります。
関税を含めない価格で商品を販売すると、最終的な購入価格が購入者の予想以上に高額になる可能性もあります。トラブルを未然に防ぐためにも、関税の負担者や金額は、ECサイトにわかりやすく明記しておきましょう。
越境ECプラットフォームによっては、関税を販売者負担にすることも可能です。
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越境ECでかかる関税の種類・計算方法
越境ECでかかる関税には、いくつかの種類・計算方法が存在し、商品や取引国によってどの計算方法を適用するかが異なります。以降では、代表的な関税の種類とその計算方法を解説します。
従価税
従価税は、商品の価格に関税率を掛け合わせて計算する方法です。例えば、10万円の商品を関税率10%で輸入する場合、関税額は10,000円となります。商品の価格によって関税額が変わるため、インフレに対応しやすいことが従価税の特徴です。
従量税
従量税は、商品の重量や数量、容積をもとに関税を計算する方法です。例えば、1キログラムあたり50円の従量税が課される商品を、1,000kg輸入する場合、関税額は50,000円となります。従価税よりも計算しやすいことが、従量税の特徴です。
混合税
混合税は、従価税と従量税の両方を組み合わせた計算方法です。従価税と従量税のいずれか高いほう、もしくは安いほうを関税額とする「選択税」と、従価税と従量税を同時に掛け合わせて計算する「複合税」があります。
越境ECの関税制度は国ごとに違う
関税制度は国ごとに異なり、販売先の国の関税制度が適用されます。そのため、越境ECを運営するなら、各国の制度や計算方法を理解しておくことが重要です。以降では、中国、台湾、アメリカ、シンガポールの関税制度についてそれぞれ解説します。
中国の関税制度
まず、中国には「最恵国税率」「暫定税率」「協定税率」「特恵税率」「普通税率」の5つの関税率制度があり、日本は最恵国税率が適用されます。さらに、越境EC向けの関税制度として「行郵税」と「越境EC総合税」の2つがあります。
行郵税は、個人利用を目的とした荷物を、個人名義で送った場合にかかる税金です。行郵税額が50元以下の場合は免税となります。
越境EC総合税は、企業が中国保税倉庫を経由して荷物を送る場合にかかる税金です。行郵税よりも税額は安いですが、利用条件が厳しい特徴があります。
行郵税と越境EC総合税の詳しい税率、特徴は以下の通りです。
関税の種類 | 関税率 | 対象品目 | 取引の上限金額 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
行郵税 | 品目により13%、20%、50%のいずれか | 輸入禁止品目以外の全ての品目 | 1注文当たり1,000元以下 | 税金額50元以下の場合は免税 |
越境EC総合税 | 0% | ポジティブリストに記載の品目 | 1注文当たり5,000元以下。年間取引額26,000元以下 | 増値税・消費税が一般貿易の70%かかる |
台湾の関税制度
台湾の関税には、カラム1、カラム2、カラム3の3分類があります。それぞれの適用対象は以下の通りです。
分類名 | 適用対象 |
---|---|
カラム1 | WTOに加盟している国や地域、もしくは台湾と互恵待遇を有する国や地域からの輸入物品 |
カラム2 | 特定の開発途上国や地域、もしくは台湾と自由貿易協定を締結している国や地域からの特定輸入物品 |
カラム3 | カラム1およびカラム2に該当しない国や地域からの輸入物品 |
日本は台湾と「互恵待遇」の関係にあるため、カラム1が適用されます。それぞれの詳しい税率については、台湾の税関などで確認してください。
アメリカの関税制度
アメリカの関税制度は比較的シンプルで、「一般税率」「特別税率」「法定税率」の3種類に分かれています。それぞれの適用対象は以下の通りです。
分類名 | 適用対象 |
---|---|
一般税率 | NTR(正常貿易関係)の国 |
特別税率 | FTA(自由貿易協定)を締結している国、GSP(一般特恵制度)が適用される国 |
法定税率 | キューバ、北朝鮮 |
日本はアメリカと正常貿易関係にあり、一般税率に分類されます。具体的な関税率は商品や数量によって異なるので、アメリカ国際貿易委員会のウェブサイトにて、HTSコードを使用して確認してください。
シンガポールの関税制度
シンガポールの関税は「一般関税」と「特恵関税」の2種類に分かれます。
一般関税は、輸入時に適用される一般的な関税で、アルコール類にのみ適用され、それ以外の品物は無税となります。特恵関税はFTAを締結している国に適用される関税です。
FTAは関税を撤廃し、自由な貿易を実現することを目的とした協定です。しかし、シンガポールは、そもそもほとんどの品物の輸入が無税なので、特恵関税のメリットはあまりありません。
越境ECでは関税はかかるが消費税はかからない
越境ECでは関税は発生しますが、消費税はかかりません。消費税は、国内の取引に対して課されるものであり、国境を越える取引には適用されないからです。
詳しくは「越境ECは消費税がかかる?消費税還付受けるための条件や手続きを解説」をご覧ください。
越境ECの関税について気をつけるべきポイント
越境ECを運営するうえで、関税について特に気を付けるべきポイントを3つ解説します。
関税に加えて付加価値税(VAT)が課される場合がある
越境ECで商品を販売する際、関税だけでなく、付加価値税(VAT)も課されるケースがあります。付加価値税とは、日本の消費税のような制度で、商品が販売される際に追加で課される税金です。2023年時点では世界175カ国で採用されています。
付加価値税を考慮せず価格設定してしまうと、最終的な販売価格が想定以上に高くなり、消費者の購入意欲を低下させる可能性があります。
付加価値税の上限は定められておらず、国によって税率も異なるので、関税と同様に事前に各国の制度を確認しておきましょう。EU諸国へ商品を輸出する場合は、付加価値税が最低でも15%はかかり、商品価格に大きく影響します。
サイトに関税についての説明を明記する
顧客が商品価格に加えて、関税や付加価値税を支払わなければならない場合、事前にしっかり説明しておかないと、トラブルにつながる可能性があります。不要なトラブルを避けるためにも、サイト上に関税についての説明をわかりやすく明記しておきましょう。
販売価格に関税が含まれている場合や、販売者が関税を負担する場合でも、サイト上に説明を記載しておけば購入者は安心して商品を購入できます。
商品・国ごとの関税率の違いに注意する
関税率は輸出先の国や商品の種類によって異なります。なかには特定のカテゴリーにのみ、高い関税率が設定されている国もあるので、自身が販売する商品・国ごとの関税率は事前に確認しておきましょう。
各国共通の「HSコード」を使用すれば、商品・国ごとの関税率を調べられます。国際運送会社のFedExが提供する、関税率情報データベース「World Tariff」など、関税率を比較的簡単に調べられるサービスもあるので、必要に応じて活用しましょう。
越境ECで成功するために関税の仕組みを理解しよう
本記事では、越境ECの関税について基本的な情報や、各国ごとの関税制度、関税の計算方法、注意すべきポイントなどを解説しました。越境ECを成功させるためには、各国の税制や関税制度を正しく理解し、価格を設定することが重要です。
また、商品によっても関税は異なるので、HSコードを使い、事前に正確な関税率を把握しておきましょう。さらに、関税の取り扱いについて、サイト上にわかりやすく明記しておけば、購入者とのトラブルを未然に防げます。
本記事を参考に、関税についての知識を深め、越境ECのさらなる成長を目指しましょう。
越境ECの始め方は以下の記事を参考にしてください。
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