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ECサイトの構築手段には様々なものがあり、どれを選べばよいか迷ってしまう人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのが「ECパッケージ」です。ECパッケージは、機能性やカスタマイズ性の高さから、主に大規模なECサイトの構築手段として人気を集めています。
しかし、ECパッケージにも数多くの種類があり、導入にかかるコストや使える機能もそれぞれ違うため、自社に合った製品を選ぶことが大切です。
そこで本記事では、ECパッケージの特徴から、選び方やおすすめのサービスまでわかりやすく解説します。
目次
ECパッケージとは?
ECパッケージとは、注文管理や在庫管理といったEC事業に必要な機能がパッケージングされたシステムソフトウェアです。ECパッケージを使うことで、簡単にネットショップを開設でき、おもに年商1億円を超える規模の企業で採用されています。
自社サーバーにインストールして使用するタイプが主流ですが、最近はクラウドタイプのものも少なくありません。
ECパッケージに含まれる主な機能一覧
ECパッケージに含まれる機能は、製品によって多少異なりますが、基本的には以下のような機能が備えられています。
- ECサイト構築
- 注文管理
- 決済機能
- 商品・在庫管理
- 売上管理
- 顧客(会員)管理
- 集客機能
- 分析機能
それぞれの機能について、詳しく解説しますのでご覧ください。
ECサイト構築
ECサイトの構築方法には、フルスクラッチ(テンプレートといった既存のシステムを使わずゼロから構築する方法)など様々な方法がありますが、なかでもECパッケージは開発工数が少なく、短期間でECサイトを構築できます。
注文管理
注文管理とは、購入された商品・数量・金額といった注文に関する情報を管理する機能です。
ただ情報を管理するだけでなく「注文に応じて自動的にメールを送信する」といった作業も、注文管理に含まれることがあります。
決済機能
決済機能は、クレジットカード決済やコンビニ決済など、顧客が商品を購入する際に決済をするための機能。
販売している商品やターゲットとなるユーザーの年齢・性別などによって適した決済方法は異なるため、柔軟に決済方法を選べるようにすることが大切です。
商品・在庫管理
商品・在庫管理機能は、商品の登録や編集、在庫数の管理などをする機能を指します。
ECサイトでは在庫が直接見えにくいこともあり、商品や在庫を管理する機能はとても重要です。
売上管理
売上管理機能は、売り上げの管理や請求書の作成、税金計算などの機能を指します。
顧客(会員)管理
顧客管理機能は、購入履歴や保有ポイントといった顧客情報の管理を行う機能です。
適切に顧客管理を行うことで、リピート顧客の増加や既存顧客の解約率を下げる効果が期待できます。
集客機能
集客機能は、SEO対策やメールマーケティング、SNS連携など、新規顧客を獲得するための機能です。
分析機能
分析機能は、ECサイトへのアクセス解析や売上分析、顧客行動のトラッキングなどを行う機能を指します。
ECパッケージのメリットとデメリット
様々なEC構築の方法があるなかで、ECパッケージにはどのような特徴があるのか気になる人もいるでしょう。
そこでここからは、ECパッケージのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
ECパッケージのメリット
ECパッケージを使えば、他の構築方法に比べて開発工数が少なく、短期間でECサイトを作ることができます。
また、基本的な機能はもちろんカスタマイズ性に優れているため、オリジナリティあるECサイトにしたり、複雑な機能を導入したりすることも可能です。
さらに、堅牢なセキュリティで設計されていることが多く、サイバー攻撃などに強いことも大きなメリットです。
ECサイトでは顧客情報の取り扱いが欠かせないため、セキュリティの高さはEC運営において大きなアドバンテージとなります。
ECパッケージのデメリット
ECパッケージの導入には、それなりにコストがかかります。
フルスクラッチで構築する場合と比べるとコストは低いですが、ASPなどその他の方法に比べると、機能が優れている分コストが高額になってしまうことも少なくありません。
また、定期的なメンテナンスやアップグレードが必要なことも、ECパッケージのデメリットです。
近年ではスマートフォンの利用者が増加していくなかで、スマートフォン向けのシステムを利用していなかった企業が対応できず、大幅なシステム更新を必要としたケースもあります。
そのためECパッケージを利用する際は、現在必要な機能だけでなく、将来必要になる機能も予測することが大切です。
ECパッケージを比較・検討する際の7つのポイント
ECパッケージの導入にはそれなりにコストがかかるため、自社に合ったECパッケージを選ぶことが重要です。
しかし、最初はどのような基準でECパッケージを選べばよいか迷ってしまうでしょう。
そこでここからは、ECパッケージを比較・検討する際のポイントを詳しく解説します。
1. 自社でやりたい機能が網羅されているか
ECパッケージがもつ機能は、製品によって違います。導入前にやりたいことを明確にし、必要な機能が備えられているかを見極めましょう。
また、ECサイトに求められる機能は時代によって変化するため、現在必要な機能だけでなく、今後必要になる可能性のある機能も含めて、比較・検討してください。
2. 管理・運営がしやすいか
機能と同様に、操作性も製品によって大きく異なります。
いかに機能が優れていても、管理・運営がしにくいと余計なコストがかかってしまうため、導入前に操作性を確認しておきましょう。
フロント・管理画面のデモが公開されていたり、実際に操作できるデモサイトが用意されていたりするECパッケージもあります。
3. 拡張性やカスタマイズ性が豊富か
拡張性・カスタマイズ性は、ECパッケージによって大きく違いが出るポイントです。
ECサイト開設初期はカスタマイズする機会は少ないかもしれませんが、長期にわたって運営していると様々なカスタマイズが必要になる可能性があります。
将来のことを見据えて、できるだけ拡張性やカスタマイズ性の高いものを選ぶと良いでしょう。
4. 事業規模とコスト面が見合っているか
ECパッケージは無償のものから、数千万円ほどのものまで様々な製品があります。初期費用をかけすぎてしまうと、いつまでもコストが回収できない可能性も。
自社の事業規模と、かけられるコストを踏まえて、適切なECパッケージを選びましょう。
5. セキュリティがしっかりしているか
ECサイトの運営では顧客情報の管理など、高度なセキュリティを求められる場面が多々あり、万が一事故が起きてしまうと信頼を失いかねません。
実際にクレジットカード情報が漏洩してしまい、信頼性を大きく損ねてしまった企業の例もあります。
不正アクセスやウイルスに対抗できるシステムが用意されているかなど、セキュリティ面もしっかり確認しましょう。
6. 同業他社の導入実績があるか
同業他社の導入実績が豊富なECパッケージは、信頼でき、機能性や操作性にも優れている可能性が高いです。
また、過去に同じような構築を行ったことがあるECベンダーなら、自社の要望に対して効果的なアドバイスをしてることもあります。
ECパッケージを比較する際は、同業他社がどのECパッケージを利用しているかや、検討しているECベンダーの構築経験もリサーチしてみましょう。
7. サポートが充実しているか
ECサイトを長期にわたって運営していくには、トラブルへの対応やメンテナンスが欠かせません。
そのため、トラブルが発生したときにベンダーがしっかりとサポートしてくれるかどうかも、ECパッケージ選びの大切なポイントです。
優れたベンダーならトラブルへの対応だけでなく、マーケティング支援までしてくれることもあるので、機能面やコスト面だけでなくサポート体制もぜひ確認しておきましょう。
ECパッケージおすすめ5選の比較|小・中規模向け
小・中規模企業向けのECパッケージは、機能やカスタマイズ性に限りがある分導入費用が安めです。
できるだけコストを下げてECサイトを構築したい場合は、ここで紹介するもののなかから選ぶとよいでしょう。
サービス名 | リピストX | futureshop | メルカート | サブスクストア | 楽楽リピート |
---|---|---|---|---|---|
料金 | 初期費用69,800円~、月額料金39,800円~ | 初期費用22,000円~、月額料金24,000円~ | 初期費用190,000円~、月額料金50,000円~ | 初期費用69,800円~、月額料金49,800円~ | 月額料金49,800円~ |
主な機能 | 1クリック機能、サンクスオファー機能など | CMS機能、ライブコマース機能など | SEO支援、SNS支援など | 様々な機能の一元管理が可能、チャットボット機能など | LP一体型フォーム、メールマガジン機能など |
リピストX
画像出典:リピストクロス
リピストXは、株式会社リピストが運営する総合通販向けカートシステムです。
チャット型の購入フォームや1クリック購入機能、サンクスオファー機能、よりどり定期購入機能など、様々な機能を備えています。
他にも顧客ランクをつける機能やクーポン配布機能など、ロイヤル顧客を育成する機能も充実。
料金プランは「スタートアップ」「スタンダード」「エキスパート」の3種類で、最も低価格なスタートアッププランなら月額料金39,800円、初期費用69,800円で利用可能です。
futureshop
画像出典:furueshop
futureshopは、Saas型のEC構築プラットフォームです。CMS機能を備えているため、ドラッグ&ドロップで簡単に優れたデザインのECサイトを構築できます。
また、100以上の外部サービスと連携でき、簡単に様々な機能を追加できることも、futureshopの魅力です。具体的にはライブコマース機能やクーポン機能、実店舗在庫表示、レポート・分析機能などが利用できます。
futureshopの利用料金は「本体料金」+「オプション機能料金」+「決済機能料金」の合計です。
本体料金は、50~10,000商品まで登録可能で初期費用22,000円・月額料金24,000円の「futureshop」と、30,000商品まで登録可能で、初期費用752,000円・月額料金160,000円の「futureshop omni-channel」から選べます。
メルカート
画像出典:メルカート
メルカートは、中小企業向けのクラウド型ECパッケージです。
初期費用19万円、月額費用5万円の基本料金をベースに、様々なオプションを加えることができます。
安価なサービスながら機能・サポートも充実しており、基本的なカートシステムやデザイン制作に加えて、SEO支援やWEB広告運用といった、マーケティングオプションが追加可能。
初期費用・運営費用をできるだけ抑えたい、EC未経験のため充実したサポートがほしい、という企業に適したサービスです。
サブスクストア
画像出典:サブスクストア
サブスクストアは、定期通販・単品通販向けのクラウドサービスです。
様々な機能が一元管理できるため、EC運営に関するあらゆる業務を効率化できることがサブスクストアの特徴。
EC運営には欠かせない商品管理や顧客管理はもちろん、デザイン管理や売り上げ・分析管理など幅広い業務が一元管理可能です。
また、チャットボットの提供など、周辺サポートが充実している点も、高く評価されています。
料金プランは「スタンダード」「プレミアム」「エキスパート」の3種類で、それぞれの違いは、従量課金1件あたりの単価やトラフィック耐性などです。
最も低価格なスタンダードプランは、月額料金49,800円、初期費用69,800円から利用できます。
楽楽リピート
画像出典:楽楽リピート
楽楽リピートは、定期通販・単品通販に特化したカートシステムです。
D2Cに特化し、機能を絞ることで低コストを実現。
とはいえ、決して機能性が低いわけではなく、アップセル・クロスセル商品の紹介機能や、訪問者の好みや傾向に合わせて商品を紹介するパーソナライズ機能、LINE連携、メールマガジン機能などが利用可能です。
料金は月額49,800円からで、標準機能や受注件数によって3つのプランが選べます。
ECパッケージおすすめ5選の比較|大規模向け
大規模企業向けのサービスは料金が高い分、カスタマイズ性や拡張性に優れていることが特徴。おすすめの大規模企業向けECパッケージは、以下の5つです。
サービス名 | ebisumart | EC-ORANGE | ec-being | Commerce21 | SI Web Shopping |
---|---|---|---|---|---|
プラン | 従量課金プラン、固定料金プラン、レベニューシェアプラン | 要問合せ | ミドルプラン、エンタープライズプラン | 要問合せ | 要問合せ |
その他特徴 | 高いカスタマイズ性、拡張性 | 大量アクセスにも安定して対応可能 | 充実した標準機能 | 初期開発から運用保守まで一貫したサポート体制 | 使いやすいOMS基盤 |
ebisumart
画像出典:ebisumart
ebisumartは、Saas型でカスタマイズ性に優れたECパッケージ。
ECサイトの構築は「ゴールではなくスタート」という考えから、構築後も定期的に機能の更新や追加のためのアップデートが行われ、常に最新のシステムを利用可能です。
カスタマイズ性、拡張性にも優れ、他社アプリケーションとの連携による機能の拡張から、エンジニアによる高度なカスタマイズまで、柔軟に対応してくれます。
プランは「従量課金プラン」「固定料金プラン」「レベニューシェアプラン」の3種類があり、費用を抑えたい場合には、初期構築費用が300万円ほどの「従量課金プラン」がおすすめです。
利用した分だけ費用が発生するため、繁忙期と閑散期で予算の調整ができ、無駄なコストを削減できます。
EC-ORANGE
画像出典:EC-ORANGE
EC-ORANGEは、中堅・大手企業向けのECパッケージです。
年商100億円以上の大規模なECサイトや実店舗と連携したオムニチャネル構築、ふるさと納税向けECサイトの構築など、大規模かつ多様な構築経験があり、高い信頼と実績を誇ります。
大規模ECの構築経験が高いだけあり、大量アクセスや大量受注にも安定して対応できるプラットフォームのため、月間売上が数十億円以上の大規模ECでも安心して運用できます。
導入費用は、カスタマイズの内容や導入規模によって異なるので、お問い合わせにてご確認ください。
ecbeing
画像出典:ecbeing
ecbeingは、ECサイト業界で実績15年連続No.1、構築数1,600超の実績豊富なEC構築プラットフォームです。
標準機能だけでも十分すぎるほどの機能性を備え、ECサイトとしての基本的な機能だけでなく、売り上げを向上するための仮説検証、分析機能も充実しています。
さらに要望に合わせて越境ECへのカスタマイズや複数ブランドへの対応、オムニチャネル構築といったフルカスタマイズも可能です。
プランは「ミドルプラン」と「エンタープライズプラン」の2種類。
売上規模1000万円程で売り上げの増加に伴ってカスタマイズをしたいならまずはミドルプランを、売上規模5000万円以上で、さらに売り上げを最大化するための様々な施策を施したいならエンタープライズプランがおすすめです。
Commerce21
画像出典:Commerce21
Commerce21は、国内EC売上TOP100社でも多数導入されている、EC構築プラットフォームです。
初期開発から運用保守まで一貫したサポート体制や、オーダーに柔軟かつ確実に対応する高いカスタマイズ力がCommerce21の特徴。ヒアリングから開発後の運用サポートまで、一貫したメンバーがサポートしてくれるため、細部まで要望に沿った開発が期待できます。
ある程度資金力があり、細部までこだわりぬいたECサイトを作りたいなら、Commerce21はぴったりでしょう。
SI Web Shopping
画像出典:SI Web Shopping
SI Web Shoppingは、年商数百億円、アイテム数が百万点規模の企業におすすめな、EC構築プラットフォームです。25年以上、1,100以上のサイトで実績があり、あらゆる業種のECビジネスで活用されています。
SI Web Shoppingの特徴は、ECサイト、実店舗、顧客タッチポイントなどをシームレスに統合するOMS基盤です。
単なるECサイトの構築にとどまらず、マーケティングツールやCRM、MA、ERPといった様々なシステムと柔軟に連携することで、デジタルビジネスのコアシステムとして利用することができます。
個人や小規模企業にはASPもおすすめ
これまでECパッケージについて解説してきましたが、ECサイトの構築には、ASPという方法があります。
事業規模や求める機能によっては、ECパッケージよりもASPの方が合っているケースも。
そこでここからは、ECパッケージとASPの違いやASPの方が合っているケースについて解説します。
ECパッケージとASPの違い
ECパッケージは、ECサイトの構築や運営に必要な機能がパッケージングされたもので、機能性やセキュリティ面に優れている一方で導入にはそれなりのコストがかかります。
反対にASPは、インターネット上で共通のプログラムにアクセスし、ECプラットフォームをレンタルして利用するもので、ECパッケージと比べて機能に限りがあるものの、初期費用が安いことが特徴です。
また、ECパッケージは独自に構築するためカスタマイズ性が高い一方、メンテナンスなどは自社か開発ベンダーが行わなければいけないのに対し、ASPではプラットフォーム側でメンテナンスやアップデートを行ってくれます。
ASPの方がよいパターン
具体的にASPが適しているのはどのようなパターンなのか、詳しく解説します。
初期費用・月額費用を抑えたい
ASPはECパッケージに比べて初期費用・月額利用料が安く、なかには無料で利用できるサービスもあります。
そのため、事業規模が大きくない個人や小規模企業、試験的にECサイトを開設したい、という場合は、ECパッケージよりもASPの方が適しているでしょう。
導入に時間をかけたくない
ECサイトの運営には決済機能だけでなく、サイトデザインや顧客管理、配送方法の設定など、様々な機能が必要です。
ASPではこうした機能がテンプレートで用意されているため、Webの知識があまりなくても、スピーディーにECサイトを開設できます。
最新システムを随時導入したい
ECパッケージではシステムの更新などは、自社かベンダーが行わなければならず、手間とコストがかかります。
一方、ASPでは自動的にシステムの更新が行われるため、更新費用なしで常に最新のシステムが利用可能です。
おすすめのASPカート
一口にASPカートといっても、料金や機能の違いによって様々なサービスがあります。
ASPを選ぶ際は、ECパッケージを選ぶ時と同様に、料金や機能、カスタマイズ性をチェックし、自社に合ったものを選びましょう。
おすすめのASPカートについて、詳しくは「ECサイトの構築におすすめのASPカートは?構築手順も詳しく解説」をご覧ください。
ECパッケージの特徴を理解し、自社に合ったサービスを選ぼう
本記事では、ECパッケージの特徴やメリット・デメリット、ECパッケージの選び方やサービスについて解説しました。
ECパッケージには、ECサイトに必要な基本的な機能が揃っているため、簡単にクオリティの高いECサイトを構築することができます。
しかし、導入にはそれなりにコストがかかり、事業規模によっては採算が合わないこともあるでしょう。
その場合は、ASPの利用もおすすめです。機能に限りはあるものの、ECパッケージよりも安価で手軽にECサイトを開設することができます。
自社の事業規模や求める機能性などを見極めたうえで、ぴったりの構築方法を選びましょう。