ECサイトの保守とは?保守費用の内訳や構築方法別に必要な保守内容を解説

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ECサイトを健全に運営するには、保守が欠かせません。

しかし保守といっても、具体的にどのような作業を指すのか、いまいち理解できていない人もいるでしょう。また、実際に保守作業をする前に、どのくらいの費用が必要なのかなど、全体像を把握しておくことも大切です。

この記事では、保守作業の内容から必要な費用の目安まで詳しく解説します。余計なコストやリスクを下げるためにも、ぜひ最後までご覧ください。

ECサイト運営に必要な『保守』と『運用』

ECサイトの運営は、「保守」と「運用」をセットで考えることが大切です。

ECサイトにおいて保守とは、不具合が発生した場合に原因を特定し、ECサイトを復旧させることを指します。具体的には、トラブルの原因調査、修正、システムの改善案の提案・実施、システムアップデートなどです。

運用とは、トラブルが発生しないように行うメンテナンスや、不具合が発生した際に保守へ橋渡しすることを指します。具体的には、システムの監視やデータのバックアップ、保守への連絡などです。

特にトラブル発生時は、保守と運用が密接に連携することが不可欠です。

ECサイトの保守とは?

保守業務は、セキュリティの向上やトラブルへの対処を目的としており、その作業内容は多岐に渡ります。

以下で、具体的な保守の内容について解説します。一つ一つの作業内容について、しっかりと理解しておきましょう。

システムのアップデート

OSやミドルウェアのアップデートなど、システム全体をアップデートする作業です。

システムを最新にすることで、ソフトウェアの脆弱性を低減し、外部からの攻撃を防ぐことができます。

セキュリティ対策

セキュリティ対策は、文字通りECサイトのセキュリティを上げる施策を指します。

セキュリティ対策にはさまざまなものがあり、先に解説したシステムアップデートもその1つです。

他には不正アクセスを検知するサービスの導入などがあります。

トラブル時の修正・復旧

トラブルが発生した際に原因を突き止め、修正・復旧する作業は、保守作業のなかでも特に重要です。運用担当と連携し、可能な限り早くシステムを復旧させることを目指します。

具体的には、以下のような流れで対応します。

  1. 運用担当者からトラブルの報告を受ける
  2. トラブルが生じている範囲・発生日時を特定する
  3. トラブルの原因を特定する
  4. 対応策の検討し、実施する

ECサイトの保守費用・管理費の内訳

続いて、保守費用・管理費の内訳について解説します。

多くの人が「保守費用を可能な限り抑えたい」と考えると思いますが、あまりにも保守費用を削ってしまうと、売上の低下や運営への悪影響をもたらす可能性があります。

保守費用の内訳やそれぞれの目安を把握したうえで、適切に費用をかけましょう。

システム利用料

システム利用料とは、ECサイトを運営するためのシステムやプラットフォームに支払う費用です。

具体的には、プラットフォーム利用料やソフトウェア利用料、プラグイン・拡張機能利用料、ホスティングサービス料などを指します。

システム利用料は、どのような方法でECサイトを構築しているかで大きく変わり、ASPカートシステムを利用する場合は年間36,000円〜120万円ほど、CMSで運用する場合は年間10,000〜25,000円ほどが目安です。

なかには無料で使用できるものもあります。

サーバー・ドメイン利用料

サーバー利用料は、ECサイトを運営するために利用するサーバーのレンタル費用や、クラウドホスティングの利用料、管理費用です。

サイトの安定性やパフォーマンスに大きく影響し、あまりにもスペックの低いサーバーを使っていると、サイトの表示速度が遅くなったりセキュリティが脆弱になったりする可能性があります。

サーバー料金の目安は、年間1万円ほどです。

ドメイン利用料は、ECサイトのドメインを取得・維持する費用で、登録費、更新費、移管費などが含まれます。

年間500~6,000円ほどが目安です。

セキュリティ対応費

セキュリティ対応費は、不正注文や情報漏洩対策にかかる費用です。

具体的には、本人認証システム、不正検知システム、セキュリティコードシステムなどの利用、それらを管理する人件費が該当します。

利用するシステムや、各システムにどれだけの人員を充てるかによって費用は異なりますが、月に20万〜90万円ほどが目安です。

メンテナンス・アップデート・トラブル対応など

外部からの攻撃を防ぐためには日常的なシステムの監視、メンテナンス、OS・セキュリティ対策ソフトのアップデートが必要です。また、緊急のトラブルが発生した場合に対応できる、人員・部門の配置も欠かせません。

こうしたシステムの監視やトラブル対応には常駐の人員配置が必要なため、人数と稼働時間分の費用がかかります。

一人当たり30万〜50万円ほどはかかると思っておきましょう。

保守を外注した場合の費用感

これまで解説したように、健全なEC運営には保守と運用の連携が必須です。

しかし、保守と運用がしっかりと連携した体制を、自社で作るのは簡単ではありません。さらに、トラブル対応に多くのリソースを割くことは、本来のビジネス活動に注力できないというデメリットも伴います。

そのため、保守を全て外注してしまうのも一つの方法です。

ECサイトの構築から保守までをワンストップで行ってくれる業者もあり、費用は月に2万〜30万円ほどです。

場合によっては自社で保守を行うより安く済むこともあるので、一度検討してみましょう。

ECサイトの構築方法によって保守費用は変わる

保守費用はECサイトの運営に必ずかかる費用ですが、実はサイトの構築方法によってはかからない場合もあります。

例えば、EC運営に必要な商品管理、顧客管理、決済などのシステムを提供するサービスを利用している場合です。こうしたサービスでは、プラットフォームを提供している側に保守の責任があるため、別途保守費用はかからないものも少なくありません。

この章では、構築方法別に保守費用が必要かどうかを詳しく解説します。

1.モールへの出店

モール型ECサイトとは、プラットフォームをもっている大手ECモールに、自分のネットショップを出店する方法です。

代表的なものに、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングがあります。

ECモールの集客力をそのまま利用できるため、特別な施策を打たなくても集客しやすいことが一番のメリットです。また、設定項目も少なく手軽に出店できるため、初心者でも簡単にEC運営を始められます。

ただし、出店するモールのデザインに合わせるため、オリジナルティを出すことはできません。

費用は月額の出店手数料2〜10万円ほどと、ロイヤリティとして売上の2〜5%ほどを支払うケースが多く、それ以外に保守にかかる費用は発生しません。

モールについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

2. ASP・クラウド

ASP・クラウドタイプは、ECサイトの構築・運営に必要なシステムを、ウェブ上でレンタルできるサービスです。

代表的なものには、ShopifyやBASE、カラーミーショップ、ショップサーブなどがあります。

ASP・クラウドタイプのメリットは、ECサイトに必要なシステムは全て用意されているため、簡単かつ低コストで自身のECサイトを持てることです。

その反面、ECパッケージやフルスクラッチに比べてカスタマイズ性は低く、デザインや機能に制限があるというデメリットがあります。

プラットフォームの提供事業者が、システムのアップデートやメンテナンスを行ってくれるため、保守費用は必要ありません。ただし、ドメインを取得する場合には、ドメイン代がかかります。

初期費用と月額利用料を払えば利用できるものが多く、月額数千〜数万円程度で利用できます。

ASPについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

3. ECパッケージ

ECパッケージとは、ECサイトの構築・運営に必要な機能をパッケージ化した製品です。

これまで解説したモールやASPに比べて自由度が高く、必要に応じて機能やサービスを追加することができます。

ただし、初期費用はそれなりにかかり、500万円前後が目安です。

また、ECパッケージの場合は保守・管理は自社で行う必要があり、その分の費用もかかります。使用するソフトウェアのアップデートやリニューアルがあれば、その都度さらに費用がかかるため、初期費用以外にランニングコストも計算に入れておきましょう。

なかには、トラブル時のサポートやシステムアップデートをベンダー側で請け負ってくれる製品もあります。保守にできるだけ手間とコストをかけたくない場合は、そうした製品を選ぶのも一つの選択肢です。

ECパッケージについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

4. オープンソース

オープンソースとは、インターネット上に開示されていて、無償で利用できるソフトウェアです。

無償で利用できることに加えて、自由にカスタマイズできることがオープンソースのメリットです。しかし、自由度が高い分、ECサイト制作に関するノウハウやスキルがないと、開発は難しいでしょう。

また、トラブルが発生した場合は自社で解決しなければならず、しっかりと保守・運用体制を整えておく必要があるため、その分費用がかかります。

さらに他の構築方法に比べるとセキュリティ面に不安があり、ECサイトを安全に運営するためには高い技術力が必要です。

ソフトウェア自体は無償であっても、こうした保守費用や人件費を考えると、数百万円規模の費用がかかります。

5. フルスクラッチ

フルスクラッチは、既存のシステムやアプリケーションを利用するのではなく、ゼロからオリジナルのECサイトを設計・構築する方法です。

大規模なECサイトで使われることが多く、オリジナリティあるデザインや特別な機能を持たせることができます。

その分構築には多額の費用がかかり、高い技術と資金力がなければフルスクラッチでECサイトを作るのは困難です。

さらに、構築費用だけでなく保守・管理費用も高額です。最低でも月額100万円程度はかかり、ECサイトの規模によっては数千万円ほどかかる場合もあります。

また、技術力の高い人材が欠かせないため、人員のリソースも必要です。

ECサイトの運営には保守が欠かせない

本記事では、ECサイトの「保守」について解説しました。

保守とは、ECサイトでトラブルが発生した際に行う、原因の特定や修正、システムの改善などです。健全で信頼感あるECサイトを運営するためには、保守作業が欠かせません。

保守費用はECサイトの構築方法によって大きく異なり、モールやASPのようにプラットフォーム側が行ってくれる場合は保守費用が安く、ECパッケージやフルスクラッチの場合は保守費用が高くなる傾向にあります。

保守費用を抑えればコストは下がりますが、その分サイトの安全性や信頼性を損ねる可能性があるので、慎重に検討したうえで最適化していきましょう。